今回は公務員をめざす方が最低限知っておくべき、官公庁の契約について簡単に紹介します。
なぜ就活生が「契約」を知るべきか
簡潔にいうと・・・
・入庁する前に軽く知っておいた方がいい
・面接 or 論文で施策案を出すとき、あまりにも契約ルールを無視した案を出さないようにするため
・面接 or 論文で施策案を出すとき、あまりにも契約ルールを無視した案を出さないようにするため
みたいな感じです。
官公庁は民間企業とちがって、好きな相手と契約できるわけではありません。なぜなら公平性が求められるからで、トップダウンでA社とスピード大型契約!なんてことはやっちゃダメなんです。
1か月間はずっと公募して、質疑回答もして、やっと入札をして優先交渉権者を決定して、いろいろな審査を経てやっと契約。良し悪しは別にして、そんな世界だということは知っておいた方がいいです。
この記事で紹介するもの
・一般競争入札
・随意契約(プロポーザル、一者随意契約)
・随意契約(プロポーザル、一者随意契約)
小難しいことは紹介しません。それは公務員になってから覚えれば良いのですが、契約の方式とざっくりした中身くらいは知っておいた方が良いと思います。
まずは全体像。基本は一般競争入札
図にすると、以下のような感じです。
基本は一般競争入札。これだけでも覚えてほしいです
一般競争入札とは、平たく言えば誰でも参加できる入札のことです。
例えばA市でパソコンを100台購入する案件があるとします。まず、A市は「ノートパソコン100台を何月何日までに納品してくれ。OSはWindowsで・・・」などと書いた仕様書と呼ばれる書類を作成し、ホームページで公開します。
それを見たいろんな会社が「600万円」「550万」などと、いくらで受注できるか値段をいっせいに投票します。そこで一番安い値段を言った会社が晴れて受注できるわけです。
すごくシンプルで、平等ですよね。だから官公庁の契約は原則、一般競争入札です。透明性が大事なわけです。
大事なのはカネじゃない?プロポーザル方式
先ほどの例はパソコン購入の案件でしたが、次はウェブデザインの案件にしましょう。
あなたは観光課の職員で、お洒落なホームページを制作して観光客を呼び込む施策を担当しているとします。
この案件を公募したとき、今にも潰れそうな零細企業が、「1,000円で受注します」と言ってきたらどう感じますか?
完全に安かろう悪かろうですよね。
この場合にプロポーザル方式による契約を行います。
値段で決定するのではなくて、提案をプレゼンさせて一番良いものを選ぶわけです。
じゃあ一番良いものってどうやって決めるのか。このあたり、少し透明性に欠けますよね。変な話、ワイロとか使って審査委員を買収するとか考えられますよね。
もちろん審査委員が誰かは非公表ですし、一定規模以上の契約なら外部審査委員が点数をつける場合もあります。
私が市職員時代はこのプロポーザル形式を何度もやりましたが、けっこう仕事が多くて大変でした。審査委員が5名ほどいるのですが、その全員に説明しないといけないし、多くの会社がアイデアを提案してきたりもするので、事務量が半端なかったです。
特殊なケース、一者随意契約
名前から分かると思いますが、これは誰と契約するか行政職員が自分で決めて契約しちゃう感じです。
官公庁と契約したい会社はごまんといますが、チャンスが与えられることはなく、案件情報が公開されるのは契約が締結された後です。
一般市民からすれば、不透明な意思決定で契約相手を決定したと感じるかもしれません。
たまにニュースに出てくる問題アリの契約はだいたい一者随意契約か、もしくは入札情報を漏らした的なやつですよね。
非常に怪しげな一者随意契約ですが、それでもこの契約手法を使わないとダメなときがあります。
私が職員時代に経験したのは、2018年の台風21号で市が管理する道路に木が倒れた事案が発生したときでした。いわゆる緊急性が優先されるケースですね。こんなときにいちいち入札をしているヒマはないのです。
とはいえ、一者随意契約は競争性が一切ない契約なので、できるだけ避けるべきです。それは地方自治法でも定められていて、地方自治法施行令第167条の2第1項に「こういうときは一者随意契約してもいいよ」というケースが記載されています。興味のある人は見てみると勉強になると思いますよ。
以上、今回は官公庁が行う契約についてざっくりとまとめてみました。