今回はお金のお話です。
採用面接やプレゼンの場で、どれだけ良い施策を言えても「財源はどうする?」と聞かれて沈黙してしまうと台無しです。
公務員に必要な能力として、「良い施策を考える」だけでは不十分。税金を使う以上、コスト面に非常にシビアにならなくてはいけません。
この記事で何が分かるか
この記事では、一般財源・特定財源の違いについて、簡単に解説します。
記事の結論を先に言ってしまうと、以下のとおりです。端的に言っているので少し語弊もありますが。
・施策を実現するためには、特定財源が多いほど良い。一般財源が多いほど良くない。
・自治体に7年間勤務
・経験分野は、財政・観光・採用(新卒、中途)
自治体で予算担当として勤務していたとき、素晴らしい施策を何度も目にしましたが、コスト面が現実的ではなく却下になったものを何度も見てきました。
しかし、一般財源や特定財源の性質の違いを理解している職員は、財源を交渉材料に施策案を説明するため、施策が通りやすいのです。
皆さんもモノを買うとき、商品がどれだけ良いか説明されただけでは不十分ですよね。コストが価値に見合うかどうかの観点でも判断するはずです。
財源の種類の区別くらいは、公務員として必須スキルですので、ぜひマスターしましょう。
財源を学ぶロードマップ
2. 入門書をざっくり読む
3. 詳しい書籍を読む
1. 一般財源、特定財源の意味について理解
一般財源は自分のカネ
一般財源は、税収や地方交付税交付金など、自治体の財布から支出するお金です。総事業費に占める一般財源が多いほど、自分の財布が痛みます。
特定財源は他の人から貰えるカネ
自治体にとって、特定財源とは国や県から貰える補助金や交付金、起債、寄附金などのことです。
ざっくり以下のような感じ。
・県の補助金・・・県から貰える補助金。返済の必要なし
・起債(市債)・・・銀行などから借りるお金。返済の必要あり。
・寄附金・・・基金ともいう。ふるさと納税など
具体例でイメージ
あなたは観光施策の担当者で、訪日外国人の満足度を上げたいと考えています。観光客アンケートを見ると、まちを散策中に道に迷って困っていた人が多いことがわかりました。そこで以下の施策を思いつきます。
この場合の財源は以下のような感じです。
こんなこと言われたら、予算要求は通りませんね。上記のケースでは寄附金という特定財源があるので、自治体の自己負担は800万です。それでも負担は大きいですよね。
これならどうでしょうか。観光庁のホームページを見ると、補助率は50%とあります。つまり財源はこうなりますよね。
これでかなり財源が改善されましたね。つまり総コストよりも自己負担がどれくらいかが重要ということです。
2.入門書をざっくり読む
おすすめは以下の書籍です。これは財政担当というより、すべての公務員向けという感じです。財源・税金・予算など、読んでいて苦にならないレベルで載っています。さっと眺めて、必要な時に振り返るような読み方で良いと思います。
3. 詳しい書籍を読む
こちらはタイトルのとおり、財政担当職員向けの書籍ですね。この本には入門書にはなかった項目が多く掲載されています。個人的には「予算の流用」は絶対読むべきだと思います。
予算の流用とは、(一定の範囲内で)当初の目的とは違った目的に予算を使うことです。
補正予算を除くと、予算要求は年に1回です。でも、その1年間に使う予算を完璧に予測するなんて絶対無理。予想外に必要になったお金はどうやって捻出するかというと、他に余りそうな財源を見つけて、そこから捻出します。これを予算の流用といいます。
つまり財政担当じゃなく施策の担当者が使うテクニックです。財政担当じゃない職員にとっても必須知識だと言えるでしょう。
以上、「公務員なら施策の内容だけではなく、同じくらい財源にもこだわるべき」という意味が少しでも伝われば幸いです。